YAMAHA PSS-790

YAMAHA PortaSound PSS-790

ポータサウンドシリーズの「小さなオールインワン」という方向性における最後期にリリースされたモンスターマシン。珍しいミニ61鍵です。93〜94年頃に、処分特価(2万くらい?)で購入。
AWM100音色、50リズム、ベクターシンセ、8トラックシーケンサー搭載と、かつてのポータサウンド(PS-3だと、9音色、4リズム)からは隔世の感のあるスペックです。


購入動機は「持ち運びの容易な61keyが欲しい」というものでしたが、立派過ぎる内蔵スピーカーと、鍵盤手前にせり出たドラムパッドのせいで持ち運びがそれほど容易ではなく、買い物として成功したとは言えません。


異なる4音色をスティックで自在にブレンドできる「ベクターシンセ」に大喜びし、YAMAHAお得意の「ハーモニー機能」で、似非ビッグバンド風ホーンを奏でて遊び、ドラム音はおろかプリセット音色の任意のノートをアサインすることも可能なドラムパッドに、ペンタトニック5音をあてといて「超限定アドリブ」を楽しみ、クオンタイズもパンチインもきかない頑固なシーケンサーで己の勝負勘を磨き。とにかくできることの幅が広いので、1台あれば飽きずに遊べます。


あと実はこれ、MIDIのスレーブになるとマルチ音源として使用できるので、GMとは違う癖のあるプリセットをシステムに組み込むことも可能。組み込んでないけど。


先述した「ハーモニー機能」は、鍵盤の下のほうで左手で弾いたコードに適したハーモニーを、右手のリードに付け足してくれるという、便利というかお節介というか、とにかく面白い機能で、これが使いたくて、PSS-790をライブに持ち込んだことがあります。ライブでの効果はあったのですが、何かの弾みでリズムのスタートボタンを押してしまったらしく、曲が終わった瞬間に軽やかなソカのリズムが鳴り響いてしまったという失敗談があります。*1


ポータサウンドシリーズは、この後「お手軽な入門機」への方向転換をしてしまったので、現在に至るまでこのPSS-790が「最もゴージャスなポータサウンド」として君臨したりしなかったりするわけですが*2、いつかまたこんな過剰なポータサウンドに出会える日が来るのを祈っている次第です。


個人的には、QY70とCBX-K1をミックスしたマシンが出れば、もう即買いの気構えなのですが。

*1:何故プリセットリズムの1番最初に「ソカ」なんてマニアックなものがあてられてるのか、当時の開発者に問い詰めてみたい気分です。

*2:実はこの後、PSS-790を小さくモディファイした機種が出たらしいですが、基本的なスペックに殆ど違いはなかったようです。