BOSS SP-505
BOSSから発売されたサンプリング・ワークステーションです。2001年発表。わ、もう3年近いんだ。
私の日記へのリンク元を見ると、このSP-505関連の情報を検索してくる方が割といるようです。
なので、その方が「SP-505の購入を検討している」ことを前提に、長所・短所などを書こうと思います。
まず、この機種がどんな用途に向いているかと言うと、
- PCでDAWソフトを使っている人がライブ用として
- バンドのキーボーディストがSE出し機として（これ私です）
- MPCを持っているが、それをライブに持ってくのはまっぴらな電車好きトラックメーカー
こんな感じですね。要するに「トラック作成におけるメインのサンプラーとして使うには、やや力不足だが、PCなどで作った音をライブ会場に持ち込むには素晴らしいマシン」と言えるでしょう。
本体でのエディット機能には期待しない方が良いです。大抵ガッカリします。以下、あえて製品情報から引用。
サンプリングしたフレーズからワン・ショットのサウンドを取り出すことができるチョップ機能。アンビエンスやグルーブ感を損なうことなくワン・ショット音の抽出が行えるため、サンプリング素材の持ち味を活かしたフレーズをつくることができます。
だそうですが、チョップ出来るのはモノラルサンプルのみ。「素材の持ち味を活かす」のも大変です。そして、チョップしたサンプルは「CHOPBANK」という専用のバンクに収められるのですが、CHOPBANKは2つしかありませんので、チョップが済んだら適宜通常のPADBANKに移さなければなりません。面倒です。
この辺、一括で出来るメニューがあればよかったのですが。
更に。
また、サンプルに音階をつけるピッチ機能を搭載。パッドを鍵盤に見立ててリアルタイムに演奏するなど、オリジナリティにあふれたフレーズをつくり出すことができます。
もちろんピッチつけられるのもモノラルサンプルのみ。そして、「PITCHBANK」もふたつのみ。
「PITCHBANK」を選択してサンプルを音階演奏する際は、SP-505のパッドが鍵盤となるのですが、パッド上の音程とMIDIノートナンバーは一致しないので、外部MIDIキーボードから正しい音程で演奏することはできません。PITCH付けたサンプルをMIDIキーボードで演奏したい場合、PITCHBANKにアサインされているサンプルをCLIPBOARDにコピーし、低い音のサンプルから順番に、任意のPADBANKの1番からペーストしていきます。
例：C⇒PAD1、C#⇒PAD2、D⇒PAD3....
こうすれば、一応外部MIDIキーボードで弾いたとおりの音を鳴らすことが出来ますが、面倒ですね。
PITCHBANKだけは受けるノートナンバーを変えてくれればよかったのに、と思うのですが、メーカー側がPITCHBANK/CHOPBANKを「一時的な記憶領域」と考えているとしたら、却ってわざわざな感じになっちゃうし、致し方ないかな。
先ほどから、モノラルサンプルの話がちょくちょく出てきていますが、SP-505の恐ろしい仕様として、「モノラルサンプルのパン設定はLeft/Center/Rightの3点のみ」というのがあります。
このため、ピッチ機能やチョップ機能を駆使して、本体のみでトラックを作ろうとすると、「ステレオの出始め」の頃のようなすごい定位の楽曲が出来上がります。
仕様上の弱点をもう一つあげると、「スマメのバックアップがPCで出来ない」というのがあります。*1
スマメ自体を最終的なバックアップメディアとして扱えっていう話です。そしたら、高価な128Mスマメを使うのは勿体ないですね。安く売ってる32〜64Mくらいのカードを買い足していく使い方が良いでしょう。
なんか、こうやってあげていくとSP-505が糞マシンのように見えてしまうかも知れませんが、さっきも書いたように、家で加工した音をそのまま取り込んでライブに使うには最適だと思います。まず軽いし*2、ライブ用の軽い打ち込みには丁度いいくらいのシーケンサーがついています。あと、BOSS直系のエフェクターが楽しい。私はマイクを繋いでハーモナイザーかけて、宇宙人声*3を出すのに重宝しています。
うーん、結局、SP-505の購入を考えている人を思いとどまらせる要素ばかり書いてしまった。繰り返し書きますと、PCやMPCなどのサブとして使うには良いですよマジオススメ。そして、これからトラックメイキングをはじめようという方にはAKAI MPC1000やPCをオススメします。以上！
