CASIO SK-1
さあ、みんな持ってたサンプルトーンだよ。
86年頃、シンセ等を使って音楽をやっていた人々の関心事は、当時猛威を振るっていたサンプリングを如何に自分の音楽に摂り入れるか、だったように思います。
当時最も安いと言われていたサンプリングキーボード*1が、ENSONIQのMIRAGEだったのですが、それでも約24万円*2。BOSSのコンパクトデジタルディレイ「DSD-2」にサンプリング機能が実装されたものの、ピッチなどは付けられず、せいぜい曲中にオケヒット1発鳴らす程度のものでした。そのくらいサンプリングの敷居は高かったのです。
そんな中いきなり登場したこのCASIO SK-1、通称「サンプルトーン」は、ポリフォニックのサンプリングキーボードとしてはまさに桁違いの16000円という安さで、発売と同時に爆発的に売れました。どのくらい売れたとかの正確な数字はわかりませんが、私も含めて知り合いみんなが持ってたので、多分相当爆発的だったのでしょう。
もちろん、サンプラーとしての機能は非常に粗末なもので、録音可能時間が0.8秒とかそんな程度だったと思います。詳しいスペックはどっかで調べてください。
それでも、サンプリングの面白さを体験するには充分で、特に「サザエさん」からサンプリングした声のピッチを下げてオカマにした時は数時間笑いっぱなしでした。当時そのネタで1曲作りましたが、実家行ったらテープあるかな?
サンプリングしたデータを保持しておくのは不可能で、電源切ったらさようならだったのですが、それでも頑張ってライブで使いました。本番前に声をサンプリング、そして前述のDSD-2には、シンセで作った偽オケヒットをサンプリング。今思うと凄いライブ感のあるライブだな。
友人の使用例としては、バンド名をサンプリングした声でデモ演を鳴らしたものを本番前のSEにしたり、アルペジオを入力しておいてワンキープレイで演奏したり。
低いスペックの機材を力づくでねじ伏せて使い倒す楽しみがありました。
その後、MIDI改造バージョン「MIDI乃助」(←漢字こうだっけ?)がどっかの楽器屋から発売されたり、なんだかマニアックな人気がいまだに継続していたりと、このSK-1が電子楽器史に残した意味は変に大きかったりします。
今はもう保有していないのですが、どうやって手ばなしたのか覚えていません。そのくらい気軽に付き合えて気軽に別れられる機材もそうないでしょう。